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評価:
村上 春樹
文芸春秋
¥ 470
(2004-07)
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図書館で、村上春樹の『シドニー!』を借りてきた。
借りてきたやつは一冊の本になっているので、ここに載っているのとはちがうんだけれど(全4商品のうち3商品を表示って書いてあって、でも4番目にはたどり着けなかった)。
53丁目にあった「ドネル」という公立図書館は、世界各国の国の言葉で書かれた本やビデオ(DVD)が借りられる図書館だったけれど、いろいろ事情があって閉鎖され、そこに収められていた本たちは、今ではマンハッタンの公立図書館にちらばっている(といってもハーレムには来ていない。当たり前かな)。
5番街と40丁目にある図書館に、そこそこ集まっていて、そこから借りてきた。
村上春樹は好きな作家じゃなかった。
『ノルウェーの森』が社会現象になったときにちょこっと読んでみたけれど「何が面白いねん」と、本を床に叩きつけたい衝動にかられた。
でもニューヨークにやってきて、図書館に当時発刊されていた村上春樹の本がほとんど置いてあって、日本語に飢えていたこともあって、むさぼるように読んでみたら、面白くってファンになった。
当時1999年。
確か地下鉄サリン事件を扱ったやつを読んだと思う(『アンダーグラウンド』。面白かった。個人的に初期3部作はあまり好きになれない。今読んだらまた違うのだろうか)。
昨日(金曜日)借りてきて、わざわざ1時間かけてミッドタウンからバスでハーレムまで帰ってきて、獅子丸に『となりのトトロ』のDVDを見せつつ、横で読んでいた(悪いおかんだ)。
今日も今日であまり相手せず、ひたすら本のページをめくる。さっさと寝てくれないかな〜と思いつつ(寝てくれた)、その横で3時間ほどかけて読んだ。
面白かった。
「聖火ランナーをわざわざ見に来るなんて信じられない。ただの火じゃないか」と、たまたま聖火ランナーがやってくる街にいてしまった彼の感想。
マラソンとトライアスロンと野球しか興味がないのに、ハンドボールの決勝で燃えてしまい、サッカーの決勝でも燃えてしまっている(予選のブラジルと日本も、わざわざ車を飛ばしてブリスベンまで行っている。その距離を日本に置き換えると、東京から門司まで、約1000キロ)。
メインだけでなく、オーストリアの歴史も入れて、もちろん食べ物の話も、寝てユーカリの葉ばかり食べていて人生になーんの悩みもなさそうなコアラにも、コアラなりの事情があるというサイドディッシュ的な話も満載。
でもアタシ的にぐっときたのは、プロローグとエピローグに載っていた有森裕子さんの話。
とくにエピローグは、2000年11月5日のニューヨーク・シティー・マラソンについて、だった。
じつは、あたしが初めて走ったマラソンも、この日だったのだ。